轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうせつのタネ
小説のタネ
吉川 英治
「文藝春秋」1957(昭和32)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,376 字 · 23 页
道場をふんだこともない。すべて空想です。そして、そういう空想は「宮本武蔵」を書こうとして忽然と湧いて出てくる空想ではないんでね。考えてみると、やはり少年時代の空想のつづきですね。つまり白昼夢の繰返しが偶※(二の字点、1-2-22)物に触れてふき出してくるにすぎない。「水元声無シ、石に触レテ即チ鳴ル」あれですよ。
例えば、好きな少女があるでしょう。なんにも話しかけられもしない、けれど、空想の中ではその少女の前で自分の姿を英雄的に置いてみたりして独りひそかに空想感にひたるような頭の遊びを少年時にはたれもよくするでしょう。お通なんかもそれでしょうな。僕はお通っていうものは意識的にやや理想像を書いていますし、朱実の方はその反対を幾らか現代の女性にちかいものにしています。又八と武蔵のような対照的にね。ところが、書いてみて、その当時、僕は自信を得ました。というのは、お通的な性格っていうのは、やはり日本の女性は誰もといえる位なパーセンテージで幾分かをみなもっているんですね、ウイスキー・グラスを傾けて飲むような女性でも、朱実かお通かと、好みをきくと、多くは、お通といいますね、お通的性格を彼女たちも採るんです。