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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
夜はもう一時ごろである。天はますます黒く、風はますますはげしい。波濤の音、船の動く音、そのあいだにきこえるのは海つばめの鳴き声である。
海つばめの声がきこえたからといって、陸が近いと思うてはならぬ、海つばめはおりおりずいぶん遠くまで遠征することがあるものだ。
と、またもやごうぜんたる音がして、全船が震動した、同時に船は、木の葉のごとく巨濤の穂にのせられて、中天にあおられた。たのみになした前檣が二つに折れたのである。帆はずたずたにさけ、落花のごとく雲をかすめてちった。
「だめだ」とドノバンはさけんだ。「もうだめだ」
「なあにだいじょうぶだ、帆がなくてもあっても同じことだ、元気で乗りきろう」
と富士男はいった。
「いいあんばいに追風になりました。一直線にゆくことができます」とモコウはいった。
「だが、気をつけろよ、船より波のほうが早いから、うしろからかぶさってくる波にからだをさらわれないように、帆綱にからだをゆわえつけろよ」
富士男のことばがおわるかおわらないうちに、大山のごとき怒濤が、もくもくとおしよせたかと見るまに、どしんと甲板の上に落ちかかった。同時にライフ・ボート三せき、ボート二せきと羅針盤をあらいさり、あまる力で船べりをうちくだいた。