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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
内狩は前かがみになって下からじろっと一座を睨みつけながら、調子に乗って光秀が山崎の合戦にやぶれて名も知らぬ一土民の竹槍にもろくも敗残の身をぐさりとやられるところまでひと息に弁じだしたが、そこまでくるとさすがに彼も話が横みちへ外れすぎたことにひけ目をかんじたらしく、文学青年の丸川が「ハハア」と感心するのを照れくさそうな微笑でまぎらしながら、――
「とにかく、一つの錯覚は民衆が動いてくることを信じたところにある」
「いや」
と、その言葉を今までだまって聞いていた舟形がさえぎった。「彼等はあれだけで当初の目的を貫徹しているんだよ、これ以上何を望むところがあるのかね、――これから先き民衆運動に移ろうとするのは無理だよ、むしろこんな大事件を起した責任を明かにするために国民の前に責任を明かにするべきじゃないか」
「それもそうだが」
と、八代が言った。「一体どうなるのかね、おれたちは?」
「どうにもなりゃしないさ――どんな時代が来たところでおれたちの生活がこれ以上悪くなる筈はないんだからな、むしろ僕は」
舟形は言いかけて急に沈痛な表情になった。「文壇なんていうものが一掃されてしまった方がいいんじゃないかと思うよ」