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しまもり
島守
中 勘助
「犬 附島守」岩波書店、1924(大正13)年5月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,146 字 · 37 页
本陣が玉菜と里芋としめじをもってきた。うまそうな葉を十重二十重にかさねた玉菜と、毛むくじゃらの里芋と、まだほけない面白い形の茸が笊のなかで転り合っている。本陣は
「また先生のお楽しみのものを拾ってきました」
といいながら恵比寿さまみたいな顔をして袂から柴栗を二、三十だした。またおかみさんのさとの味噌漬が三年めとかでよく漬いてるからといって茄子と大根の唾のでそうな色に漬いたのをくれた。私が湯をわかし、飯をかけ、漬物をきるあいだに本陣は玉菜をきざみ、浜へおりて茸と里芋を洗う。それから駄菓子で茶をのみながら 越中越後にはほうぼうに尼寺があって大勢の尼が托鉢にでる。このへんでも仏の忌日にでもあたれば読経をたのしんだりまた宿をかす家もある など話すうちに飯がふいたので
「どうもおごちそうさまで」
といって帰っていった。あとにひとり王侯の富を得たきもちでほくほくしながら鰹節をかいてつゆをつくり、笊から玉菜と茸をとって投げこむ。茸がひょくひょく煮えくりかえる。蓋でおさえつける。なかでことこという音をききながら ここを離れるのがいやだ と思う。
鼠が毎晩座頭虫の身だけをくって足をそこらへちらけておく。