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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
兄は私と同じく和服でありました。するとこの裸の足は、ああ……
私はそう思うと、頭がクラクラとしました。謎を包んだ大きい穴が、急にスーと小さくなって、釦の穴ほどに縮まったような気がいたしました。それっきりでした。私は大きい衝動にたえきれないで、恐ろしい現場を前に、あらゆる知覚を失ってしまいました。暗い世界に落ちてゆくような気がしたのが最後で、なにもかも解らなくなったのです。
覚醒のあと
或るときは、月光の下に、得体の知れぬ鬼影を映しだす怪物、また或るときは、変な衣裳を着て闊歩する怪物、その怪物を、うまく隧道の中に閉じこめたつもりであった警官隊でありましたが、隧道の上に、なんとしたことか、大きい穴が明いていたのです。もしやこれが、怪物の逃げ出した穴ではないかしらと、白木警部はじめ一同が、その穴の縁に近づいたとき、傍らの盛土の中から、二本の足がニョッキリ出ているのを発見して大騒ぎになり、私は、その足の主が、きっと兄の帆村荘六だろうと考え、なんという浅ましい光景を見るものかなと思ったとき、気を失ってしまいました。――と、そこまではお話しましたっけネ。