轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さちおせんせいへのついおく
左千夫先生への追憶
石原 純
「アララギ」アララギ発行所、1919(大正8)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,117 字 · 9 页
第二巻、第三巻のころには印刷所が京橋にあったので、雑誌のできあがった日には、そこへ出かけて行って雑誌を自分でうけとり、それから私の本郷の寓居へ立ちよって、一緒に発送をするのを例とせられていた。
真間で歌会をやって手古奈の祠に詣でたことや、千葉の瀬川氏の別荘へ行って歌をつくったことや、東京湾の観艦式を見るのに川崎におもむいてそこで泊った折りのことや、多摩川べりの寺内で鮎を賞したときのことなど、私には忘れられない記憶となって残っている。そして袴の股だちをとって田舎道を歩いてゆかれた先生の姿など眼のまえに浮かんでくる。甲州御嶽の歌会には私の都合で行をともにすることのできなかったのを、今でも遺憾に思っている。
明治四十五年の三月に私が欧州へ向けて留学の旅に出かける折りに、送別の会を先生のもとで開いていただいた。先生の健康な身体をそのとき限り見ることができなくなろうとは、かりにも予想し得ないことであった。翌年先生の訃報を私はスイスのチューリッヒで受けとったのであったが、そのとき私はそこの山腹の下宿の高い窓から、呆然として町の向こうの青い湖水の面を見おろしながら、孤り離れて遠い思いに浸らないわけにはゆかなかった。