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へいまとうぐいす
平馬と鶯
林 不忘
「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页
よろしく御取り計いあって然る可く存じ候。
蔭乍らお味方の一人より
読み終った鏡之介は足許の妹千草を睨めつけて訊いた。
「どこからこの手紙が舞い込んだ?」
「はい。どこからともなく一羽の鶯が、この私のうぐいすを慕って飛んでまいりまして、あの、その鶯の脚にこの御手紙が巻きつけてあったのでございます」
「ふうむ。そうか――鶯の便とはちかごろもって風流な話だな」
と、言ったかと思うと鏡之介、そのまま手紙を握りしめてどんどん奥へはいって行った。頭のなかで今夜結城の会合に対する素晴しい計画を思いめぐらしながら。
矢筈の森
宵のうちにちょっと顔を見せた月は、間もなく霧に呑まれて、森の木の下闇は鼻をつままれてもわからない暗さだった。結城の藩と下妻との間に、横笛川という一筋の流れ。その川に月見橋の架かっていることは前にも言ったが、その月見橋を少し結城の方へ寄った所に、矢筈の森というこんもりと茂った森があった。昼は時々城下の百姓や町人が、薪木を拾いに来るくらいのもので、この夜更け、しかもこの霧、いまごろ、矢筈の森のなかに人影があろうとも思われないのに、ちょうどその森の真ん中、少し木が開いて茫々とたけなす草が生えているなかに、提灯の火を霧ににじませて、一団の人影がうごめいていた。