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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

もう一度、よんでみてはどうです」

「そうだね。じゃもう一度、声をかけよう」

塩田大尉は、また声をはりあげて扉にむかって博士の名をよびました。

すると、室内からは返事がありました。

「ああ、ああ、うるさい。わしは研究中だ。誰がきても会わんぞ。今日はだめだめ。帰ってくれ」

一彦はそれを聞いて、この調子ではとても博士は会ってくれないだろうとおもいました。

塩田大尉はと見ますと、どうしたものか顔を真赤にしています。

「大尉、どうしたのです」

大尉はこれに答えようともせず、何をおもったものか、ポケットから手帳と鉛筆とをとりだしました。そして扉の方をにらみすえるようにして、三たび博士の名をよびました。

すると室内からの返事が、きこえてきました。

「ああ、ああ、うるさい。わしは研究中だ。誰がきても会わんぞ。今日はだめだめ。帰ってくれ」

一彦が見ると、大尉は一生けんめいになにか筆記をしています。

意外な仕掛

1

「塩田大尉、そんなところで、なにを書いているんですか」

一彦は、いぶかってたずねました。

「おう、これだ。うーむ」

と、大尉は大利根博士の居間の扉をにらんで、呻るようにいいました。