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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

麻綱をのばすと、その錨はまたさらに偵察機に近づきました。

「青江三空曹、もっと小さくまわれ。そして錨のさきに、こっちの麻綱をひっかけろ!」

と小浜兵曹長は叫びました。

「えっ、錨にこっちの麻綱をひっかけるのですか」

青江三空曹は、自分の耳をうたがうように聞きかえしました。

5

青江機があとにひっぱる錨づきの麻綱が、怪塔ロケットのまわりを環のようにとりまくと、小浜兵曹長は、錨のさきに、こっちの麻綱をひっかけろと命令したのです。

ものに動じない青江三空曹も、このかわった命令には驚きのいろをかくすことができませんでした。

「そうだ、錨のさきに、こっちの麻綱をひっかけるんだ。早くしろ。しかしうまくやれよ」

小浜兵曹長は、はげますようにいった。

「はい。やります」

青江三空曹は頼もしい語気で、言葉すくなに答えた。そして、操縦桿をさらに手前へひいたのでした。

機はぐっと傾いた。

錨はふわりと機首のところをとびこえて、うしろの方へながれました。

空中の投綱だ

なんというむずかしい曲技でしょう。

小浜兵曹長は、窓にかじりついて、窓外を夢中になってながめています。