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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

こんどお別れになったら、さてその次はそうかんたんに怪塔ロケットにおいすがることはできますまい。

「ううむ、ざんねん。麻綱が燃えきれるのを、こうして手をこまぬいて見ているなんて、なさけないことだなあ」

と、小浜兵曹長は歯をばりばりかんで、ざんねんがっています。

「小浜兵曹長」

青江三空曹がよびかけました。

「なんだ、青江」

「ぜひお許しねがいたいことがあります」

「なんだ、なにを許せというんだ」

「それは、つまり――あの麻綱をつたって、怪塔ロケットの中へとびこもうというのです」

「ええっ、なんだって。麻綱をつたっていって、あの怪塔を拿捕するというのか。貴様、えらいことを考えだしたな、ううむ」

さすがの勇猛兵曹長も、若い青江三空曹の考えだしたおどろくべき怪塔占領の計画にはびっくりして、ううむとうなりました。

「よし、では青江。綱わたりをやってよろしい」

「おお、お許しが出ましたか。私はうれしいです」

「うん、大胆にやれ、あせっちゃいかん」

「麻綱はさかんに燃えだしました。では、すぐ綱にとりついてのぼります」

若武者青江三空曹は、バンドをはずすと、席をとびだしました。そしてあっという間もなく、青江機と怪塔ロケットをつなぐ麻綱に、ひらりととびつきました。