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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
さあ、君のいくところへなら、どこへでもついていくよ」
「ええ、あまり大きな声をしないで、ついてきてください」
二人は秘密の出入口を出ました。外は明かるいお月夜でありました。くもりない濃い紺色の夜空には、銀のお盆のように光ったまんまるい月があがっていました。
「ああ、いい月だ。白骨島にも、こんなにうつくしい月が、光をなげかけるのかなあ」
今までは、どこまでも強いばかりの小浜兵曹長だとばかり思っていましたのに、彼は月をみてこんなやさしいことをいいました。本当の勇士は、強いばかりではなく、また一面には、このようにやさしい気持をもっているものです。
帆村の方は、そんなゆっくりした気持になれません。もしこんなことをしていることを怪塔王や見張番にみつかっては、それっきりです。ですから、兵曹長をはやくはやくとせきたてて、すぐ前を走っている塹壕のような凹んだ道を、先にたってかけだしました。
「どこへいくのかね」
小浜兵曹長も、おくれてはならぬと帆村のあとを追って、どんどんついていきました。
凹んだ道は、かなり曲り曲って、小高い丘の方へつづいていましたが、そこをのぼりきったところに、小さい煉瓦建の番小屋のようなものがありました。