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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
「いやいやだめだめ」
黒人がさかんに言争っているのを、そばでは、アラビヤの王様が着ているような長いマントを着た怪塔王が、むずかしい顔をして聞いていましたが、
「お前たちは黙んなさい。わしの命令だ。さあはやく、横須賀へ飛ばせるんだ」
と、手をふれば黒人は、怪塔王のけんまくにびっくりして、円筒のなかにくびをひっこめました。
この黒人たちは、この怪塔の運転手でありました。怪塔王が特別に教えこんであるなかなか重宝な運転手です。いよいよ怪塔はまた飛びだすことになりましたが、そのとき天井にとりつけてある高声器が、とつぜんがあがあ鳴り出しました。
5
とつぜん頭の上で、があがあ鳴りだした高声器!
三人の黒人は、またびっくり。
しかし、もっとびっくりしたのは怪塔王でありました。彼はすばやく腰をかがめて、床のうえにおちていた木片をつかむがはやいか、天井の高声器めがけて、ぱっとなげつけました。
その木片は、高声器にあたらないで、そのまま下におちました。
このとき高声器の中から、しゃがれた声がとびだしました。
「こうら、ジャンにケンにポンよ。塔を横須賀の方へ飛ばしてはならんぞ。