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うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

「新日本」1917(大正6)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,611 字 · 56 页

青空文庫

一の番から上って、飯場でブラブラ遊んでいると、飯場の一人者が、隣り村の祭りだと騒いでドンドン出かけて行ってしまった。松田はまだ馴染も少ないので茫然としていたが、日が暮れてから三田が来て、

「オイ祭りに行かねえか」と誘ったので、若い彼は喜んでそのまま後について行った。

真暗な山道を越して、二人が塩子に行った時は、村芝居も済んだ後であった。弁天堂の前に薄暗い提灯が五つ六つ、夏の夜の暗を照らしていて、ズッと下の百姓家の前には、小さな屋台店も二つ三つはあった。その僅かな明りの間を、村の若い衆や、山から行った一人者が、娘合い手にからかいながらざわついていた。

松田は三田の後について、その群の中を通っていると、若い薄髯を生やした男が通りすがりに、三田の顔を見たと思うと、彼奴だ彼奴だと言う囁きが起った。そして、百姓らしい男が二三人、すれ違いながら、幾度も三田に打つかろうとした。けれども三田はその度に身体をかわしていたが、

「うるせえから帰ろうや」と言ったので、松田は矢張りその後について帰りかけたのであった。

二人が弁天堂の後ろの暗い森蔭まで来た時であった。後から何か多勢の人が、バタバタ追いかけて来たと思うと、