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そうわ

挿話

徳田 秋声

「中央公論」1925(大正14)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页

青空文庫

私たちに比べると、世間の人はそれこそしゃあしゃあしたもんや。私なんかそばではらはらするようなことでも平気や」おひろは珍らしく気を吐いた。

「いつ見ても何となしぱっとしないようだな」

「ぱっとできるようなら、今時分こんな苦労していませんよ。それでいいもんや。さんざ男を瞞した人の行末を見てごらんなさい。ずいぶんひどいもんや」

そしてお絹がそういう女の例を二つ三つ挙げると、最近客と京都へ行っていて、にわかに気の狂った近所の女の噂で、またひとしきり持ちきった。

道太は何をするともなしに、うかうかと日を送っていたが、お絹とおひろの性格の相違や、時代の懸隔や、今は一つ家にいても、やがてめいめい分裂しなければならない運命にあることも、お絹が今やちょうど生涯の岐路に立っているような事情も、ほぼ呑みこめてきた。そして一番寂しい道に立っているのは、何んといってもお絹であった。

道太は九官鳥が一生懸命にお饒舌をつづけているのを聞きながら、ついに果てしない寂しさに浸されてきた。お絹の話では、その九官鳥は、隣りの主人によって、満州か朝鮮から持ってこられたのであった。

「あれでも歌のつもりですよ。