轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうわ
挿話
徳田 秋声
「中央公論」1925(大正14)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页
飯を食う処は、その辺から見える山の裾にあったが、ぶらぶら歩くには適度の距離であった。道太はいたるところで少年時代の自分の惨めくさい姿に打つかるような気がしたが、どこも昔ながらの静かさで、近代的産業がないだけに、発展しつつある都会のような混乱と悪趣味がなかった。帰るたびに入りつけた料理屋へついて、だだっ広い石畳の入口から、庭の飛石を伝っていくと、そこに時代のついた庭に向いて、古びた部屋があった。道太は路次の前に立って、寂のついた庭を眺めていた。この町でも別にいいというほどの庭ではなかったけれど、乾いた頭脳には、じじむさいような木石の布置が、ことに懐かしく映るのであった。
「少し手入れをするといいんですけれど」辰之助はそう言って爪先に埃のついた白足袋を脱いでいたが、彼も東京で修業したある種類の芸術家なので、この町の多くの人がもっているようなお茶の趣味はもっていた。骨董品――ことに古陶器などには優れた鑑賞眼もあって、何を見せても時代と工人とをよく見分けることができたが、粗野に育った道太も、年を取ってからそうした東洋趣味にいくらか目があいてきたようで、もし金があったら庭でも作ってみたいような気持にたまにはなることもあった。