轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゃよう
斜陽
「新潮 第四十四巻第七号~第十号」1947(昭和22)年7月1日~1947(昭和22)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,822 字 · 176 页
夕方ちかく、お母さまは、しずかに二階の洋間にはいっていらして、パチと電燈に灯をいれて、それから、ベッドのほうに近寄って来られ、
「かず子」
と、とてもお優しくお呼びになった。
「はい」
私は起きて、ベッドの上に坐り、両手で髪を掻きあげ、お母さまのお顔を見て、ふふと笑った。
お母さまも、幽かにお笑いになり、それから、お窓の下のソファに、深くからだを沈め、
「私は、生れてはじめて、和田の叔父さまのお言いつけに、そむいた。……お母さまはね、いま、叔父さまに御返事のお手紙を書いたの。私の子供たちの事は、私におまかせ下さい、と書いたの。かず子、着物を売りましょうよ。二人の着物をどんどん売って、思い切りむだ使いして、ぜいたくな暮しをしましょうよ。私はもう、あなたに、畑仕事などさせたくない。高いお野菜を買ったって、いいじゃないの。あんなに毎日の畑仕事は、あなたには無理です」
実は私も、毎日の畑仕事が、少しつらくなりかけていたのだ。さっきあんなに、狂ったみたいに泣き騒いだのも、畑仕事の疲れと、悲しみがごっちゃになって、何もかも、うらめしく、いやになったからなのだ。
私はベッドの上で、うつむいて、黙っていた。