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だんそうがん
断層顔
海野 十三
「探偵よみもの」1947(昭和22)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 页
甥は呼鈴を押そうとした。
「待った。計画変更だ。この家にはテレビジョン電話が入っている。電話で呼出せばいいよ。君は新聞社から電話をかけていることにするんだ」
帆村はポケットから紐のついた器械をとり出して、玄関の壁へ匐いこんでいる電線に、重ねた。そしてしばらくそれをいじっていたが、間もなく甥の方へ振返って合図をした。蜂葉は、替ってその器械を受取った。そして低声で電話をかけだした。
「……碇さんのお宅ですね。奥さんでいらっしゃいますか。こちらはサクラ新聞社です。御主人いらっしゃいますか。いらっしゃいましたら、ちょっと電話に出て頂きたいんです」
かの谷間シズカ夫人は、蒼ざめた顔を一層険悪にして、テレビ映写幕から蜂葉を睨んだ。
「どういう御用でしょうか。おっしゃって頂きます」
「実は御主人のファンから手紙とお金が届いているんです。つまり御主人が火星探険隊員として大きな殊勲をたてられたことに対して一読者から献金して来たんですがね、そのことについて一寸お話したいんです」
この申入れは、てきめんの効果があった。シズカ夫人はたちまち表情を一変して、得意の笑顔となり、別室へ碇を呼びに行った。