轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
10 第十分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页
あろう。
「いや、寺院へ納められるより、それはもうあなたの側において、朝夕に、偲んでいただいた方が、どんなに故人もうれしいかわかりますまい。画者にとっても、そのほうがありがたいことです」
友松はさらにいった。画稿です。訂正できます。何かお望みなり御不満があったら遠慮なくいって下さい、と。――それを何度も質したのち、ではこれを基本に描きあげましょうと、はや図を巻いて、帰りかけた。
「もう、たそがれですのに」
と尼も於通もひきとめた。
「何もありませぬが……」
と、ひとりは急いで厨へ立ち、ひとりは灯をともし、強いて辞すひまもなく、たちまち夜食の膳は運ばれた。
もらい物の手づくりですがと、酒まですすめ、馳走らしい物とてないがと、心いッぱいもてなすのであった。友松が一片の依頼画にかくまで良心をもってするに対して、これくらいな心入れはなお足らないとしている尼の気もちもよく酌みとれる。
酒は好むところであり、宿とする草深い百姓家へもどってみても、語るあいてもない毎夜なので、ではと、友松も腰をすえ、
「尼院で御酒をいただくなどは、里人の口もいかがかとおもわれるが、せっかくのおこころざし、遠慮なく」