轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
10 第十分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页
……と感じたから、わしはさっそく、人里を遠くはなれ、これから飛騨の奥へでも行って、静かに、絵を描く場所を見つけようと思うて来たのだ。しかるにお許は反対に、これから都のまッ只中へ出たがっている。何としたことか」
「お分りにならないんでしょう。けれど私には私がよくわかっております。無分別ではございませぬ」
「聡明なお許のことだ。考えなしとはいわぬが、ちと功利心に燃えすぎる。虚栄も夢を手つだッていよう。せっかくの天性をもって、かえってそれを不幸のもとにせねばよいが」
「わたくし。……ここでお別れしましょう」
於通は不意に立った。眉をひらいた友松の顔が瞬間に見られた。思い直してくれたか――と、うれしく、ほッとしたらしい。
「や。覚られたか。思いとまって、帰ってくれるか。帰ったら禅尼どのにも安心させてあげたがいい。……そして二人とも、くれぐれこのすさまじい世に捲き込まれぬよう、分を守って、無事にお暮しなされよ」
「いいえ、友松さま。わたくしは、そこへ帰るのではございませぬ。一度出て来た尼院へまた戻る気はありません」
「えっ。では、どこへ」
「小野の里へ行きます。そしてそこから自分の好きな所へ行きます。