轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

「世間ばなしに来たと申すが、何か、変ったことでもあったか」

ついに家康から催促した。

「は。左様で」

と、帯刀は、口をうごかし始めた。その咄々たる容子では、この男に、そんな弁巧は持ち合わせていそうもない。

それを知っている家康は、苦笑をもらして云ってみた。

「帯刀。そちは若い者に尻をつかれて参ったの。近頃、上方に威を張る者にたいして、家康が安閑と坐視しているかの如き態にあきたらぬ若者輩にケシかけられ、ひとつ、家康の前へ出て、諫言を試みよと、唆されて来たのであろう。……どうじゃ」

「は。……」

「ちがうか」

「い、いえ。違いませぬ」

「ははは」

豪骨な帯刀が、処女のように顔を赤らめて、もずもずするのを見て、家康はいよいよ笑った。

「――それでもよい。まあいうてみい、帯刀」

「実は。……今日、登城の前に、作左どのに会いました」

「作左。……おう、奉行の爺イに会ったか」

「されば、その奉行の本多作左衛門どのにござります。折入って――と、作左殿がいわるるには。――近ごろ、上方において、信雄卿が殺められたりとの聞えがある。秀吉の勢威、日に募って、畏るるものを知らぬ折から、ありそうなことだ、何とも心許ない」