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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页
例えば京都では伏見の稲荷は、北野の天神と仲が悪く、北野に参ったと同じ日に、稲荷の社に参詣してはならぬといっていたそうであります。その理由として説明せられていたのは、今聞くとおかしいような昔話でありました。昔は三十番神といって京の周囲の神々が、毎月日をきめて禁中の守護をしておられた。菅原道真の霊が雷になって、御所の近くに来てあばれた日は、ちょうど稲荷大明神が当番であって、雲に乗って現れてこれを防ぎ、十分にその威力を振わせなかった。それゆえに神に祀られて後まで、まだ北野の天神は稲荷社に対して、怒っていられるのだというのでありますが、これももちろん後の人がいい始めたことに相違ありません。(渓嵐拾葉集。載恩記等)
或はまた天神様と御大師様とは、仲が悪いという話もありました。大師の縁日に雨が降れば、天神の祀りの日は天気がよい。二十一日がもし晴天ならば、二十五日は必ず雨天で、どちらかに勝ち負けがあるということを、京でも他の田舎でもよくいっております。東京では虎の門の金毘羅様と、蠣殻町の水天宮様とが競争者で、一方の縁日がお天気なら他の一方は大抵雨が降るといいますが、たといそんなはずはなくても、なんだかそういう気がするのは、多分は隣り同士の二箇所の社が、互に相手にかまわずには、独で繁昌することが出来ぬように、考えられて