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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

機織り御前

昔平清盛の父の忠盛なども、「伊勢の平氏はすがめなり」といって、笑われたという話がありますが、勇士には片目のごく小さい人は幾らもありました。そうして時によってはそれを自慢にしていたらしいのであります。(相生集。福島県安積郡多田野村)

機織り御前

越後の山奥の大木六という村には、村長で神主をしていた細矢という非常な旧家があって、その主人がまた代々すがめでありました。昔この家の先祖の弥右衛門という人が、ある夏の日に国境の山へ狩りに行って路を踏み迷い、今の巻機山に登ってしまいました。この山は樹木深く茂り薬草が多く、近い頃までも神の山といって、おそれて人のはいらぬ山でありましたが、弥右衛門はこの深山の中で、世にも美しいお姫様の機を巻いているのを見かけたのであります。驚いて立って見ると、向うから言葉をかけて、ここは人間が来れば帰ることの出来ぬ所であるが、その方は仕合せ者で、縁あってわが姿を見た。それでこれから里に下って、永く一村の鎮守として祀られようと思う。急いでわれを負うて山を降りて行け、そうして必ず後を見返ってはならぬといわれました。仰せの通りにして帰って来る途中、約束に背いて思わずただ一度だけ、首を右へ曲げて背中の神様を見ようとしますと、忽ちすがめとなってしまって、それから以後この家へ生れる男子は、悉く一方の目