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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

東北の田舎では三十年ぐらい前まで、地蔵遊びという珍しい遊戯もありました。一人の子供に南天の木の枝を持たせ、親指を隠して手を握らせ。その子をとり巻いて他の多くの子供が、かあごめかあごめのようにぐるぐると廻って、「お乗りゃあれ地蔵様」と、なんべんも唱えていると、だんだんにその子が地蔵様になります。

物教えにござったか地蔵さま

遊びにござったか地蔵さま

といって、皆が面白く歌ったり踊ったりしましたが、もとは紛失物などのある時にも、この子供の地蔵のいうことをきこうとしました。またある村では、遊び地蔵といって、いつも地蔵さまの台石ばかりあって、地蔵はどこかへ出かけているという村もありました。そういうのは、若い衆が辻の広場へ持ち出して、力試しの力石にしているのです。嫁入り聟入り祝言のある時にも、やはり石地蔵は若い衆にかつがれて、その家の門口へ遊びに来ました。地蔵講の地蔵には、廻り地蔵といって、次ぎから次ぎと仲間の家に、一月ずつ遊んで行くのもありました。

子供が亡くなると、悲しむ親たちは腹掛や頭巾、胸当などをこしらえて、辻の地蔵尊に上げました。それで地蔵もよく子供のような風をしています。