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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页

青空文庫

松の浮根に乗っている小供の話はそれで終った。獅子鼻の小供は何時の間にかその珍らしい話に釣りこまれていた。

「それでは、彼の島の中にあるお宮は、亀の宮か」

「そうとも」

松の浮根に乗っている小供は、何がおかしいのか笑い顔をした。

「人が鮒になったら面白かろうなあ」

「赤兄公とは何じゃろう」

「城址の桑の木には、どんな蛇がおるのじゃろう」

他の小供も皆その話に釣りこまれていた。すると松の浮根に乗っている小供は声を出して笑いだした。

「なぜ笑や」

獅子鼻の小供が不思議そうにその顔を見た。

「なぜ笑やって、その話は嘘じゃよ、これは某学者が、嘘に云うた話じゃそうじゃ、自家の伯父さんが話したよ」

「な、あ、んじゃ、嘘の話か」

獅子鼻の小供をはじめ他の小供も笑いだした。その笑い声のやや納まりかけた時、「あすこへ、江戸から来た小供が来た、小供が来た」と云う者があった。獅子鼻の小供はむこうを見た。

「そうじゃ、彼の子じゃ、だましてやろうか、何人ぞ呼うで来い」

松の浮根に乗っている小供が云った。

「俺が知っておる、呼うで来い」

草原の出外れに見える二三軒の藁屋根のある方から十歳位に見える色の白い小供が来ている。