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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
すでにその批判を通して啓蒙を脱却しようと企てた最初の思想家はカントだったと云ったが、恰もその消息が、原則的な形としては、カントの理性批判=弁証法の見解となって現われる。
カントの弁証法(それは理性の使用法の誤りから起る理性の各種の矛盾に就いての理論を意味する)は、彼の哲学組織に於て外見上消極的な否定的な役割をしか果していないが、それがフィヒテ・シェリングを通じて、ヘーゲルになると、論理そのものの根本的な積極的な本性に帰せられる処にまで展開される。夫をここで改めて述べる必要はないだろう。今ただ大切な点は、カントに於てやや曖昧であった悟性と理性との区別又は対立が、ヘーゲルに至って初めてハッキリしたということだ。ヘーゲルはカントの理性を、まだ依然として悟性の段階に止まるものと見て、之を形而上学乃至機械論の代表者と見立て、之に本当の理性のディアレクティクを対立させたが、恰も之は、カントが批判し脱却しようと力めた啓蒙主義の特有な合理主義・矛盾律中心主義に対する判然とした批判を意味している。即ち歴史上の所謂啓蒙の第二規定の方は、ヘーゲルに至って、初めて徹底的に止揚されたわけだ。