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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

四

主義にまで引き戻されるだろう*。権藤氏が日本精神主義の特色を前景に押し出さないのは、偶々精神(Geist)という今日日本で最も調法がられているドイツ哲学の範疇を、心得なかった迄だ。

* 東大倫理学教授和辻哲郎博士(「町人根性」・「日本精神史」・「国民道徳」・「倫理学」等々がそのテーマ)、広島文理科大学教授西晋一郎博士(「国民道徳」・「忠孝論」等々がそのテーマ)、東大国史科教授(朱光会員)平泉澄博士(「建武中興」・「ドイツ精神」等々がそのテーマ)、等の国粋倫理道徳学者・現代式国学者達は、改めて之を批判する必要があると考える。

四

で、日本精神主義哲学から云っても、又日本農本主義哲学から云っても、日本の特質は、それが他の国家乃至民族に較べて、勝れて精神的だという処にあるということになるらしい。凡ての日本主義が、恐らくこの日本精神主義に一応は帰着せしめられることが出来るだろう。だがそれにも拘らず、日本精神(之が日本の本質な筈だった)が何であるかは、合理的に科学的に、遂に説明されていない。それはその筈で、元来日本精神なるものは、或いは「日本」なるもの自身さえが、日本主義にとっては、説明されるべき対象ではなくて、却って夫によって何かを相当勝手に説明するための、方法乃至原理に他ならないからである。