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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

――だが存在とは一体何か。併し存在は物質か精神かというのではない。存在は和辻氏によると元来人間を意味する言葉なのだ。それを知るには併し「存在」という言葉自身の意味を見ればよい。存在という言葉は云うまでもなく「ある」という意味を表わす。だが、「ある」にも「である」と「がある」との区別があるが、支那では、「有」で以て「がある」に当てている。無論この際、「である」よりもこの支那的な「がある」の方が「ある」の根本に触れているのであって、之がオントロギー(存在論)が「有論」と云われる所以なのである。そこで氏によると「有る」は「有つ」から来るのであって、そういう風に有の根柢にはいつも人間関係が潜んでいるということが見出される。「有る」処のものは人間の「所有」に外ならぬ。

「ある」→「がある」→「有る」→「有つ」が人間の所有に帰着するならば、人間自身があるのはどういうあり方か。人間が人間自身を有つということが人間の「ある」であって、これが「存在」という言葉だというのである。処で「存」という字の方は、人間の主体による時間的把握に関係しているが(「存じています」・「存続」