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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

徳川時代的な郭制度の維持や同じく徳川時代に発達し切った女大学的良妻賢母主義が、なぜ現代の復古主義の代表者であり得るのか、というだろう。併し家族制度は云うまでもなく単に家族乃至家庭の問題ではなくて、社会又は国家そのものに関する問題なのである。又は、家族制度は社会制度や国家組織そのものではないが、家族制度に止まり又家族制度へ帰えるという家族主義は、取りも直さず社会又は国家そのものの組織に就いて物を云おうとする主義なのである。

今仮に例の市川校長の新良妻賢母主義その他に現われた個人主義を、国家の問題に就いて求めれば、取りも直さず例の自由主義的〔国家〕論となるのだ、ということの意味に、今注意を払わなければならない。そこでこそ、国家乃至社会が、民族又は国民の名の下に、一つの家族に譬喩されることによって、この自由主義的〔国家〕論・〔国家〕説が排撃され得ることになるわけである。或いはもう少し厳密に云うと、社会が国家として、そして国家が民族として、そして更に民族が部族や氏族として、そして遂に之等凡てのものが家族として、譬喩されることによって、この〔国家〕論は排撃され得ることになるのである。