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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

それだけではなく、この〔軍〕部団の成立は、日本兵制の沿革から見ても亦、極めて必然的なものとされているのであって、現在の挙国皆兵の根拠は遠く日本古来の兵制へ王政復古したものに他ならないと見られているのである。ここに又、この〔軍〕部的〔軍〕国意識が日本主義の一本質とならねばならぬ遠い必然性があるのだ。

ただ私はすでに、所謂〔軍〕部団を、〔軍〕官的官僚団と一応見ることによって、之を一般の「〔軍〕人」なるものの内から区別する根拠を示しておいたのだが、従って事実上の兵制から云って挙国皆兵であることが、必ずしも挙国皆軍部団ということにならぬのは、云うまでもない。兵制から云えば凡ての国民は軍人であるが、社会身分としての職業関係から云えば、無論凡ての国民が「軍人」なのではない。併しそれが挙国皆兵の理想によって混一させられているのである。

こうした制度上の理想と市民社会の現実との間の一種の喰い違いは、歴史的に云うと、〔軍〕部団と中世乃至近世の武士階級との特別なつながりとなって幻想され易いという事情を産むわけで、つまり〔軍〕部団は近代的な(世襲的でない)新武士団だという風に事実考えられ易い。