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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
的乃至「文学」的な衣裳にも拘らず、実は却って全く非哲学的となり、従って又非文学的になって了った結果に他ならぬ。批評がこういう風に自己分解すれば、そこから文学乃至哲学のカリケチュアしか発生しないことを私はすでに云ったのだが、文学主義こそ文学の最も妥当なカリケチュアでなくてはなるまい。元来戯画というものはアクセントだけを抽象して強調したものに他ならないのだから。
日本に於て真に哲学的又文学的な批評の機能が確立され始めたのは、大戦以後マルクス主義哲学がインテリ層を支配し始めた時からであった。哲学的文学的批評のこの機能は、一方に於ては科学的批評(科学批評ではない)他方に於ては社会的批評として、特色づけられた。この二つの機能を結合すること――そこにマルクス主義哲学の一般的な本質があるのだ――がこの際新しく確立された批評の価値だったのである。なぜなら之によって初めて哲学と文学とは正面から媒介され、科学的認識と文学的表象との連絡が日本文学始まって以来初めて全面的につけられる運命だったからである。例の政治と文学との関係はそこで初めて問題になる理由があった。恐らく之には多くの弊害が伴ったことだろう。