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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

専門学校や大学を出ているからというなら、一体所謂「知識階級職業紹介所」で学校出の大衆的な失業者を、ごくわずか、而も日雇いに周旋しているのはどうしたわけか。インテリゲンチャがサラリーマンを以て代表者としているという妙説は、多分インテリゲンチャ層(そういう層があると仮定して)を一つの社会上の職業定位と見做したことから来るのではないかと思うが、それならインテリの失業者などはインテリ層に這入る資格がなくなって了う。私の推察では、この妙説は寧ろ評論雑誌の所謂読者層からでも考えついたものではないかと思うが如何。併し読者層となると、サラリーマンとか知的労働者とかいう社会層らしいものとは、大分違った意味での「層」なのだが。そういう読者層を発見したのはタルドという「社会学者」だったが、インテリゲンチャをサラリーマンに於て発見したのも、そうした社会学者的功績に数えることに吾々は吝かではない。

つまり、サラリーマンという常識的範疇がすでに社会層を現わす言葉として充分に分析的でない上に、サラリーマンはサラリーマンであり、多分は何かの職業的又は身分的な社会層らしいもののことであって、それはインテリゲンチャというものと本来別個な系統の社会規定にぞくし、従って話しの筋がまるで違うものなのだ。