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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

ありプロレタリアにも満足しない、有望な一階級だという処から、之は当然来なければならない結論だったのである。

インテリを社会現象に於ける客観的な平均的な存在と見るのが――サラリーマン説の如き――、インテリ社会階級説に帰着するばかりではなく、その逆に、インテリを主体的に又更に寡頭的に個人々々を集めた集合概念と見てさえ、正にそれ故に却ってインテリ階級説に陥落する弊害を持つのである。

そればかりではない、第二に、インテリの代表者を文学者・作家・評論家などに求めることは、文筆上の活動が何よりも人間のインテリジェンスの基準になるものだという仮定に他ならない。ブルジョア社会でいう所謂文化――之は文明から区別されている――又は教養というものが人間知能の本質だという仮説が之である。こうしたブルジョア・イデオロギーによる知能の観念は、実は中世的な又は封建的な、僧侶階級の知能独占期から発しているものなのである。文筆上の知的労作は、物質的生産に於ける知的労作よりも、知能(インテリジェンス)上高級だということは、全く、僧侶主義が近世的な形で、文学の姿を取って現われたものに過ぎない。