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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

四

そしてここに見られる各種形態のファシズムの動きこそが、対立の必然に基いてその相手方を克服する処から、進歩的だということになる。――例えば軍部や官僚の日本主義や挙国一致主義によって粛正選挙が行われたおかげで、無産党は初めて進出出来る、日本主義には進歩的な本質がある、否進歩的な日本主義を支持すべきだ、と云い出す無産者代表さえ少くないのだ。この偽似的対立に基く進歩の観念と、一つ前に云った挙国一致的進歩の観念とは、その本質を等しくするものだ。

右翼労働団体の大衆の内に没入して之を進歩的なものに組織するということと、単に右翼団体と提携したり之を支持したりすることとは、同じ統一戦線的実践でも全く別のことで、それはプロレタリア的組織から見た大衆と、社会学的な意味に於ける大衆との違いに一致するのだが、社会学的常識を利用しやがて又みずから之を信仰する処の社会理論家・社会実践家にとっては、そういう区別などは専ら邪魔になるばかりだと見える。

四

だがこういう妙な進歩の観念が横行しているのも、例のプロレタリア的進歩性という常識に多少の責任があるのである。と云うのはこの良い意味に於ける常識観念は、進歩性というものを専らプロレタリアという階級主観に結びつけて考えようとするのだったが、進歩的であるとか反動的であるとかいう区別を、そうした