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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
に実用的なフレクシビリティーを与えるか、という反省の時期に這入ったのである。政治的進歩性のモメントは退潮したが、それに基く流行の下火によって、それだけ文化的道徳的な課題としての進歩性が強化されて来たというのがこの際大切な要点なのだ。
今日こそマルクス主義理論は常識化され日常化され、その意味に於て道徳化され気質化される時であり、又現にそうなりつつある時期なのである。その意味に於て初めて、夫が思想化しつつある時代だとさえ云ってもいいのである。今やこの機会を利用してマルクス主義は、又唯物論は、大衆のモラルとなり大衆の気分となり、やがては大衆の風俗とさえなるように、地道に大衆の身辺に浸潤する時期なのである。「進歩」が生きた思想にまで化すためには、現下の事情は却って欠くべからざる条件なのだ。之は将来のための見えない力となるものだ。と共に、今日こそマルクス主義理論が、理論として可能な限りに於て、専心に研鑽され整備されるべき時期なのである。又事実そうした理論上の問題やトラブルを、丁度一九〇五年以降のロシアの反動期がそうだったように、現在の日本は吾々に沢山なげかけているのを読者は知っているだろう。