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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

之に対して、官僚ファシズムは上部からのファシズムとでも云うべきものだ。――無論之も立憲的ファシズムの一種である。ただ政党的ファシズムと区別され、更に又之に対立する点は、政党的ファシズムが立憲〔議会〕制を、社会的に形式化形骸化したに対して、官僚的ファシズムは之を更に法制局的に脱脂しようと企てる点にあるのである(この対立によって例えば内閣審議会・選挙粛正・〔司法〕権のファッショ化・等々が発生する。――そしてこれに対しても亦微弱な「自由主義」が叫ばれる!)。

政党的ファシズムは中間層の利害を代表するかのように(それは言葉の上では日本帝国の利害となる)見せかけながら、実は政党自身の、即ち地主・ブルジョア自身の利害を代表することを大いに自覚している。処が官僚は、職業団体ではあっても利益団体ではない処の、国家の公然たる使用人だから、官僚的ファシズムはその担い手自身の利害としては直接には自覚されない(高級官吏とブルジョアとの事実上の連絡は問題外として)。そこに官僚的ファシズムの一種の道義的自信が、一種の大義名分振りが存するのである。――だがこの大義名分にも拘らず、その大義名分道徳の体系は、ここでは極めて貧弱だ。