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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

処が之等は今日の吾々の、即ち現代の文明諸国の、国際的に通用する論理とは同じでない。極端な例はレヴィ・ブリュール等の一連の研究によって示されているが(未開人に於ける特有な集団表象・分有=パルティシパションの論理・先論理)、古代印度人の思考のメカニズムも亦、今日の国際的な論理との間に可なり決定的なギャップを示している。その良い例は因明論理の論証手続きなどだろう(例えば Betty Heimann という女史は古代インド的思考の研究を Kant-Studien に時々発表しているが、その一つによるとヨーロッパと古代印度ではアナロジーをさえ絶する程異った思考のメカニズムがあるという結果になる)。

蓋し範疇組織=論理は、それぞれの時代の社会の歴史的条件によって現実界に対応すべく組み立てられた思考の足場なのだが、この現実界が発展すれば当然この足場も発展せざるを得ない。足場が発展するには、この範疇組織という足場の材料となっている各範疇がモディファイされ止揚されることによって、断えず足場が再構築されて行かなければならぬ。古典的範疇だからと云って、勝手に持って来て現実の実際問題を処理するオルガノンとすることは、だから絶対に許されない筈なのである。