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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
之に反してリードの共通感覚=常識が共通するのは、社会における各個人の間に於てである。ここでは例えば各個人と云っても実は或る意味での平均人と云ったようなものが必要となって来る。共通という意味が、だから両者の間で一向共通でないではないかと云うかも知れない。
だがリードの主著(Inquiry into the Human Mind on the Principles of Common Sense)が、人間の外部的諸感官の問題から出発していることは多少の注意に値する。と云うのは、五官に共通する感官によって、実は初めて人間の意識的統一が成り立つわけだが、この人間的・個人的・統一がなければ、社会に於ける個人間に共通するという常識なる統一も成り立たないのは云うまでもないし、それから又逆に、常識というものが初めて、他面に於て個人々々の意識の統一を齎すものだという事実も見逃してはならない、からである。一人の個人の意識の統一を齎すものは、一方個人心理的に云えばコイネー・アイステーシスであると共に、その同じ関係が、個人を社会心理的に見ると、所謂常識となるのである。個人意識の統一という点から見れば、だからアリストテレス的共通感官の概念と、リード的常識の概念との、実質的な連絡がハッキリするわけだ。