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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

加津佐村の代官山内小右衛門、安井三郎右衛門両名は、信徒三十数名に襲われ、鳥銃の為に斃された。千々岩、小浜、串山三村の代官高橋武右衛門は、夜半放火されて驚いて出る処を討たれた。其他諸々在々の諸役人も同じく襲撃されたのである。

時に島原の領主松倉重次は、江戸出府中の事であるから、留守の島原城は大騒ぎである。老臣岡本新兵衛は、士卒をして船で沿岸を偵察せしめるが、ほとんど、津々浦々が一揆である。うかつに上陸した者は、悉く襲われる始末である。殊に一揆は代官所を襲って得た処の鳥銃槍刀の武器を多く手に収めて居る。其上に元来が島原の人民は鳥銃製造の妙を得て居て、操作の名手も、少なくない。三会村の百姓金作は針を遠くに懸けて置いて、百発百中と云う程で、人呼んで懸針金作と称した位である。

銃の名手丈でなく大斧を揮う老農があるかと思えば、剣法覚えの浪士が居る。こうした油断のならない一揆の群が何処にひそんで居るかわからないのだから、軍陣に慣れて居る藩士達も徒らに奔命に疲れるばかりでなく、諸処に討死をする。一揆の方では三会村の藩の米倉を奪取しようとさえした。

隣国の熊本藩、佐賀藩では急を聞いて援軍各々数千を国境にまで出したが、国境以外は幕命がなければ兵を進めることは法度である。