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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

天王寺口の戦

が、正純も中々引退らぬ。

両者が互いにいがみあっている由がやがて家康の耳に入った。すると、家康は「幸村が申条理也、正純心得違也」と、早速判決を下して、幸村に、自分の手で勝手に取壊すことを許した。

この辺り、家康大に寛仁の度を示して、飽迄幸村の心を関東に惹かんものと試みたのかも知れない。が幸村は、全く無頓着に、自分の人夫を使って、地形までも跡方もなく削り取り、昌幸伝授の秘法の跡をとどめなかった。

天王寺口の戦

元和元年になると東西の和睦は既に破れ関東の大軍、はや伏見まで着すと聞えた。

五月五日、この日、道明寺玉手表には、既に戦始り、幸村の陣取った太子へも、その鬨の声、筒音など響かせた。

朝、幸村の物見の者、馳帰って、旗三四十本、人衆二三万許り、国府越より此方へ踰来り候と告げた。これ伊達政宗の軍兵であった。が、幸村静に、障子に倚りかかったまま、左あらんとのみ言った。

午後、物見の者、また帰って来て、今朝のと旗の色変りたるもの、人衆二万ほど竜田越に押下り候、と告げた。これ松平忠輝が軍兵であった。幸村虚睡りしていたが、目を開き「よしよし、いか程にも踰えさせよ。