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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页
信玄は、その後も神色自若、孫子の旗と法性の旗をかざして牀几を動かず何事もなかりしが如く軍配をふって指揮したと云うが、あまりそうでもなかっただろう(後団扇を検したところ八個所の痕があったというからよほど何回かうちおろしているわけである)。原大隅守は殊勲の槍を高くあげて、「今妻女山より味方の先手衆駈けつけたぞ、戦いは味方の勝ちぞ」と叫びまわった。信玄の落着き振りと、この機宜の処置とは将に崩れかかった味方に百倍の勇気を与えた。この時の有様を『甲陽軍鑑』に、
「敵味方三千七百の人数入り乱れて突いつ突かれつ伐つ伐たれつ互に具足の綿噛みを取り合ひ組んで転ぶもあり首をとつて立ちあがれば其首は、我主なりと名乗つて鑓つけるを見ては又其者を斬り伏せ後には十八九歳の草履取りまで手と手を取合差違へ候」とある。両旗本の激戦の様を記しているのである。他の諸隊も皆この通りであっただろう。とにかく甲越二軍の精兵が必死に戦ったのであるから、猛烈を極めただろう。後年大阪陣の時抜群の働で感状を貰った上杉家臣杉原親憲が「此度の戦いなぞは謙信公時代の戦いに比べては児戯のようだ」といったことがある。