轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はるのとうぞく

春の盗賊

太宰 治

「文芸日本」1940(昭和15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,212 字 · 58 页

青空文庫

「少し君は、早すぎたね。どろぼうは、たいてい、二時か三時に来るものです。そのころは、人間が、一ばん深く眠っているものなんだ。医学的には、ね。」少し、面目をとりかえした。調子に乗って、また、へんなことを言ってしまった。「どろぼうは、第一に、勘だね。これが、なくちゃいけない。君は、僕に、お金があると思っているのかね? たとえば、この机のひき出しに、お金がいくらはいっているか。」はっと口をつぐんだ。自身の言いすぎに気がついたのである。私の机のひき出しの中には、二十円はいっているのである。これは四月末日までの、私たちの生活費の全部である。これを失えば、私は困るのである。ごはんをたべるぶんには、いま手許にお金が無くても、それは米屋、酒屋と話合った上で、どうにかやりくりして、そんなに困ることもあるまいけれど、煙草、郵便代、諸雑費、それに、湯銭、これらに、はたと当惑するのだ。私は、まだこの土地には、なじみが薄いし、また、よしんば、なじみの深い土地でも、煙草、切手は、現金ばらいで無ければいけないものだろう。それかといって、友人知己からお金を借りて歩くことは、もうもう、いやだ。