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はるはよみがえる

春はよみがえる

小川 未明

「小学六年生 3巻11号」1951(昭和26)年1月新年特別号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,577 字 · 12 页

青空文庫

」と、ささやきました。

雲や、風ばかりでなく、小鳥たちも、前に遊んだのを思い出したのか、今朝、めずらしくうぐいすが飛んできて、いい声で鳴きました。

「おや、うぐいすがきたよ。」

正吉は、おどろきのあまり、この喜びをだれとともに語ろうかと、家から外へかけ出しました。

この近くに、一人の画家が、住んでいました。あの人ならきっと、いっしょに喜んでくれるだろうと思いました。

「おじさん、うぐいすを聞きましたか。」

正吉は、へやへ入るなり、いいました。

「聞いたよ、君も聞いてどうだった。やはりうぐいすはいいね。戦後はじめてだろう。これでやっと、平和の春らしくなった。」と、画家は、窓を開けて、まぶしそうに青空を見上げ、はればれとした顔つきをしました。

「正ちゃんなんか、これからだ。ぼくみたいに年をとると、若いうちのように旅へも出られないから、春がきて花でも見るより、ほかに楽しみはないが、うぐいすの声を聞いたときに、さすがに生きがいを感じたよ。また、花の咲くうちは、たびたびきてくれるだろう。」と、画家は、自然に対して、感謝したのでした。

正吉は、こうして、人間がことごとく平和を愛するなら、この世の中はどんなに楽しかろうと思いました。