轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

げつめい

月明

豊島 与志雄

「新小説」1921(大正10)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,772 字 · 34 页

青空文庫

」

姉はほっとした様子で、それでもなお気味悪そうな色を浮べて、姉の方を睥んだ。

「おどかそうたって駄目よ。化物なんか居るものかと云ってた癖に、化物贔屓の俊子さんがいらっしたものだから、すっかりかぶれちゃって、つまらない話をしてるのね。」

「あら私が化物贔屓だなんて……。」

とは云っても、俊子は眼付で笑っていた。

それきりあたりがしいんとしてきたのを、姉は突然大きな声で、「さあ、先刻の続きをやりましょう。」

船上げの喇叭に中断せられたトランプが、また初められた。

云い出した姉へ、彼は美事にスペートのクインをつけてやった。そこへまた姉は、俊子からスペートの五を背負い込ませられた。

「いいわ、覚えていらっしゃい。分ってるわよ、化物同志で私をねらってるのね。」

俊子は彼と眼を合わして、くすりと笑った。口元に指で押したような凹みが寄って、ちらと瞬いた睫毛が、鳥の翼みたいな影を眼の中に落した。

ハートの切札の時に勝つようにと、彼は何がなしそんなことを心に念じた。

けれど、そういう遊びのうちにもともすると、真暗な夜が忍び込んできた。風はいつのまにか止んで、しとしととした霖雨を思わせる雨音だった。