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ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう

本州横断 痛快徒歩旅行

井沢 衣水

「冐險世界 第四卷第拾參號」博文館、1911(明治44)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,069 字 · 29 页

青空文庫

▲将軍、空前の大演説

ここの旅館丸杉は、以前未醒画伯の宿ったことがある家だという。早速宿ることとして旅装をとく。

▲将軍、空前の大演説

宿に着いてから日没までは、各々感心にも日記その他の整理をした。聞けば今晩当町に南極探検後援会の活動写真が劇場においてあるとの事。夕飯を食ったならば早速行ってみるべしと一決したが、もう一つ、青年大角力があるという話も聞いた。これも行ってみたい。そこで未醒画伯と木川子が大角力に向い、吾輩と将軍が活動写真の方へ行った。

見れば田舎の小劇場はもはや満員で、殆んど入ることが出来ない位だ。しかしながら、せっかく五、六丁の道をやって来たのである。見ないのも残念とあって、二人、人を別けて桟敷に押し上がり、一角に陣取って活動を見る。影写の合間には地方の有力者が立って、南極探検の説明やら挨拶やらをするが、淳朴なる田舎の婦子供を動かすには余りに学術的に亘り、その効果は認められないようであった。

ここにおいて髯将軍たちまち熱狂し、見物席なる二階のボックスに突っ立ち上がり、旅館の浴衣のまま、汗と埃に汚れた白帽子を右手に握り締め、天地を震愕せしむる大音声に、

「諸君ッ、満場の諸君」