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むらいちばんそうけいせん
村一番早慶戦
佐々木 邦
「冨士」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,468 字 · 34 页
校長先生は次に僕の父に相談した。父は怒ったそうだ。
「何故俺のところへ先に言って来ない」
「別に意味はありません。あなたは今までに随分出していらっしゃるから、今度は東金さんに出して貰いたいと思いました」
「成程」
「私は長らく校長を勤めていますが、斯ういうお願いは一度もしたことがありません。しかし今度は惜しいです。私も関の為めに幾分負担したいと思っています」
「それには及びませんよ。俺が引受けましょう」
「御迷惑をおかけして、恐縮千万ですが、何分宜しく」
「何あに、後進の為めです。もうありませんか? あなたが上の学校へ進めたいとお思いになるような秀才は」
「ございません。関一人です」
「幾らでも出しますよ」
と父は出す方の競争では決して負けない。
僕が中学校の三年生になった頃、忠僕の忠八が死んだ。長く患っていた。納戸を病室にして、母が始終看病してやった。亡くなる前の晩、忠八は僕に会いたいと言い出した。僕が枕許に坐ったら、
「一夫さん、長々お世話になりました。忠八はイヨ/\西国へ参ります」
と言った。今度は巡礼でない。死ぬという意味だった。
「そんな気の弱いことじゃ駄目だよ。