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むらいちばんそうけいせん
村一番早慶戦
佐々木 邦
「冨士」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,468 字 · 34 页
会社勤めと解決の曙光
親父は何うでも自分の誠意を買ってくれ給えというのだった。
会社勤めと解決の曙光
僕達は間もなく卒業した。僕は決心の臍を固めた。村一番の競争は今や頂点に達している。全く互角だ。緒方家は実力を増し、東金家は格式を得て、均衡を保っている。息子の出世で何方かへ傾ぐのである。僕は重い責任を感じた。先ず第一に東金君よりも好い会社へ入らなければならない。ついてはモスリンなぞは問題でない。父もその意向だった。将来モスリンの後を継ぐにしても、それまでは中央で叩き上げる方が宜いと言った。しかし在学中悉皆調子を下していたものだから、一流会社の採用試験を受けるような成績でなかった。今更東金君を恨んでも仕方がない。百方運動して、二流の最上へ推薦して貰った。第一着手として会社の格式で東金君の鼻を明かす積りだったが、試験の日に出頭したら、東金君と顔を合せたのは実に意外だった。
「何だ? 一緒か? 驚いたな」
「よく/\の因果だよ、これは」
「君もこゝへ来るようじゃ然う大した成績じゃないんだね」
「うむ。二流で一番好いところって註文をつけて置いたら、少し無理かも知れないが、まあ/\やって見ろと言うのさ」