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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

河を取られ、五十年の後には沿海洲も取られ、続いて露西亜は支那の困難に乗じて更にまたかの浦塩斯徳に近い処を取ってしまった。そういう様な訳で、別に武力を加えられたでもなければ、戦った訳でもなくして、日に千里を失うということになった。而して既に取られたところの地方はすべてまず百年間に日本の二十倍くらいな大きさを取られた訳だ。戦って取られた訳ではない。皆外交の上で取られたので、兵を用いずして取られたのである。なかなか露西亜の外交というものは御偉い。かくの如く国家は皆自ら亡ぼす。他動的でない、自動的に亡びる。亡ぼされるのでない、亡びるのである。羅馬の亡びたのも蛮族が亡ぼしたというが、決してそうではない。もう羅馬が腐敗した。そこで北狄が侵入したまでである。物まず腐って虫これに生ず。これは亡ぼされるに非ずして亡びるのである。国の亡びるのは皆そういう訳であると、大体そういうことを我輩は言ったのである。

それからその当時、支那の分割という議論がよほど盛んであった。そこで私が支那の分割の不可能なることを信じて、支那の保全を唱えた。支那を励まして亡びぬようにしろという注意を与えた。