轻松读懂日语经典作品
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
「キング」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,092 字 · 25 页
三
「そうして頂けましたら……」
「しかし、――先生からお暇をとった場合、あなたはむろん家へ帰られるのでしょうね」
「はい」
「こんなことを云って、不躾なやつだと思われるかも知れませんが」
道雄はどぎまぎしながら云った。
「あなたは、もう、――お家のほうで誰か約束を交した人でもおありですか」
「まあ、そんなこと、決して……」
「本当に? ああそれで万歳だ」
「なぜそんなことをおっしゃいますの――?」
「今は何も申上げません。やがて先生からお暇の出る時がきたら、拙者からあなたに、改めてお願いすることがあります、どうかそれを覚えていてください」
山根道雄は幸福そうに云って、じっと町の眼をみつめるのだった。
三
それ以来蝙也を狙う者は二人になった。――しかしなかなか好機に恵まれぬうちに、季節はいつか夏に入った。
ある日、城中へ召された蝙也は、日が暮れてからべろべろに泥酔して戻った。もとより酒は嫌いなほうではなかったが、そんなに酔ったのは初めてである、――なにしろ玄関へあがると、杉戸の閾の上へ倒れてしまった。
「先生、ここは玄関でございます、どうか奥へおいでください」
門人の立花哲次郎がそう云うと、