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きょうゆう
梟雄
「文藝春秋 第三一巻第八号」1953(昭和28)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,160 字 · 31 页
お寺の中をいくら掃き清めてもつもる埃りは仕方がないように、浜のマサゴはつきないことを知っていた。敵の数も浜のマサゴと同じようにつきないことを知っていたのだ。三国や四国の敵を突き伏せてみても、それでアガリというわけではない。してみれば、戦争も退屈だ。彼はそう考えていた。ムリに入れあげるほど面白い遊びではない。やってくる敵は仕方がないから、せいぜい鉄砲の稽古を怠るわけにいかないような次第であった。
こうして、彼は次第に老境に近づいていった。しかし彼が年老いても、彼を怖れる四隣の恐怖は去らないばかりか、むしろ強まるばかりであった。彼の腹の底も知れないし、彼の強さも底が知れなかった。いつになってもその正体がつかめないのだ。
彼は大国の大領主ではなかったが、彼が老いて死ぬまでは誰も彼を亡すことができないように見えたのである。
ところが彼が奪った血が、彼の胎外へ流れでて変な生長をとげていたのだ。そして意外にも、彼が奪った血によって、天の斧のような復讐を受けてしまったのである。
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土岐頼芸を追放してその愛妾を奪ったとき、彼女はすでに頼芸のタネを宿していた。