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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

それは、今朝ほどから、くりかえし話したとおりだ。」

青年は、つぎの言葉にちょっとまごついたようだったが、

「ああいうことがご方針なら、それはわかりました。しかし、毎日の行事まで、ぼくたちに相談してきめるなんて、あんまり無責任じゃありませんか。」

「無責任? これはきびしいね。」

朝倉先生は、そう言って苦笑したが、

「そりゃあ、私のほうでも、一通りの案は作ってあるよ。君らの相談が行きづまったり、あんまり無茶だったりする時の参考にするつもりでね。だから、君が思っているほど無責任ではないつもりだ。」

「案があったら、そのとおりに実行してください。ぼくたちは、うんと鍛えていただくつもりで、わざわざ田舎から出て来たんですから、先生の案がどんなにきびしくても、決して驚かないつもりです。」

「いい覚悟だ。」

と、朝倉先生は相手の顔から眼をはなして、塾生名簿を見ながら、

「君は何室だったかね。」

「第一室です。」

「名前は?」

「田川大作。」

田川の返事は、しだいにぶっきらぼうになっていった。

名簿には、「熊本県、二十六歳、村農会書記、村青年団長、農学校卒」とあり、備考欄に、「歩兵伍長、最近満州より帰還」